賃貸だからテレビの壁掛けは無理だと諦めていませんか。壁に穴を開けたら退去時に高額請求されるかもしれない、配線がごちゃごちゃになって結局見た目が悪くなるのでは、そんな不安を抱えている方は少なくありません。
実は、原状回復のルールを正しく理解し、適切な方法を選べば、賃貸でも壁を傷つけずにテレビを壁掛けにすることは十分に可能です。ホッチキスで固定できる金具、壁に一切触れないつっぱり式、配線をすっきり隠すモールの使い方まで、選択肢は意外と豊富にあります。
この記事では、契約書の確認ポイントから設置方法の比較、配線の隠し方、退去時の補修まで、賃貸で壁掛けテレビを実現するために必要な知識をすべてまとめました。読み終わる頃には、あなたの部屋に合った最適な方法が見つかっているはずです。
賃貸でテレビを壁掛け設置し配線まで考える前に確認すべきルールとリスク
部屋を広く使いたい。すっきりしたインテリアに憧れる。小さな子どもがいるから地震でテレビが倒れないか心配。そんな理由から壁掛けスタイルを選ぶ人は年々増えています。ただ、ここで立ち止まってほしいのは、あなたが住んでいるのは賃貸物件だということ。壁に穴を開けて配線を通す工事なんて、退去時に高額請求されるのではないかと不安になって当然です。
実際に調べてみると、原状回復のルールは意外と複雑で、何をどこまでやっていいのか迷う人がほとんど。しかし正しい知識を持っていれば、賃貸であってもリスクを抑えながら壁掛けにできる方法は存在します。
契約書・管理規約・管理会社確認で揉めないためのチェック項目
賃貸物件で壁に何かを取り付けようとするとき、最初に手に取るべきは契約書です。賃貸借契約には禁止事項の欄があり、そこに壁への加工や穴開けについての記載がある場合があります。画鋲程度なら通常損耗として認められるケースが多いのですが、大家さんが独自のルールで禁止していることも珍しくないため、契約書をしっかり確認する必要があります。
マンションであれば管理規約もチェック対象になります。特に分譲賃貸の場合、区分所有者向けに決められた細かいルールが存在することがあり、それに反すると退去時のトラブルに発展しやすいです。不明点があれば管理会社に直接問い合わせるのが確実で、事前に書面で許可を得ておくと後々のリスクを大きく減らせます。口頭での了承だけでは証拠が残らないため、メールやSNSでのやり取りを記録しておくことを強くおすすめします。
許可の有無だけでなく、入居時点の壁の状態も写真で残しておくと、退去時の認識ズレを減らせます。国交省のガイドラインでも入退去時の確認と写真の活用が推奨されており、トラブル予防に有効な手段です。
原状回復の考え方(通常損耗と借主負担の線引き)
国土交通省が公表しているガイドラインでは、通常の使用によって生じた損耗は貸主が負担すべきという考え方が示されています。ただし、このガイドラインは法的拘束力を持つものではなく、あくまで目安です。最終的な判断は契約内容や実際の損耗状況で個別に決まります。たとえば日焼けによるフローリングの変色や、家電の設置でついた床の凹みなどは、入居者の責任にはならないケースが多いです。
壁の穴についても同様の考え方が適用されます。カレンダーやポスターを掲示するための画鋲程度の小さな穴は通常損耗として扱われやすい一方、穴が多い場合や補修範囲が広い場合、下地ボードの張り替えが必要になる場合は借主負担が発生することがあります。特に重量物を支えるために壁に複数の穴を開けた場合は、修繕費の負担を求められる可能性が高まります。
2020年4月に改正された民法でも、借主の故意や過失による損傷については原状回復義務を負うと明記されました。この改正民法は2020年4月1日以降に締結された賃貸借契約が主な対象なので、契約時期も確認しておきましょう。なお、契約書に特約がある場合は契約内容が優先されるため、やはり最初の確認作業がすべての基本になるわけです。
穴の種類で変わるリスク(画鋲・ピン・ネジ)と修繕費の考え方
穴のサイズによってリスクは大きく変わります。画鋲やピンでできる穴は非常に小さく、下地ボードの張り替えが不要な範囲であれば通常損耗と整理されやすいです。ただし、同じ場所に何度も刺して穴が大きくなっていたり、必要以上に多数の穴を開けていたりすると、通常使用の範囲と認められないこともあります。
ネジ穴になると状況は変わります。下地ボードまで達する深さの穴を複数開けた場合、ボードごと交換が必要になるケースがあります。修繕費用は補修範囲が壁紙の一部で済むか、下地ボードまで及ぶかで大きく変わり、さらに地域や管理会社、施工業者によってもブレがあります。具体的な金額は見積もりを取らないと分からないため、事前に管理会社へ確認しておくと安心です。
壁掛け金具をビスで固定した場合は明らかに借主負担になる可能性が高いと考えておくべきでしょう。敷金からの相殺で済む場合もあれば、敷金を超えて追加請求されることもあります。こうしたリスクを理解したうえで、どの方法を選ぶか検討することが大切です。
賃貸でテレビを壁掛けするために配線も含めて失敗しない事前採寸と成立条件
壁掛け計画を立てる前に、いくつかの条件が揃っているかどうかを確認しておく必要があります。壁の材質、設置したいテレビの仕様、コンセントやアンテナ端子との位置関係、周辺機器の配置場所。これらがすべて噛み合っていないと、せっかく取り付けても配線がごちゃごちゃになったり、そもそも設置自体ができなかったりという事態に陥ります。
壁材と下地の見分け方(石膏ボード/木下地/コンクリ)
壁掛けの成否を左右するのが壁の材質です。日本の一般的な住宅では石膏ボードが多く使われています。石膏ボードかどうかを確認する最も簡単な方法は、目立たない場所に画鋲やピンを刺してみること。サクッと軽く刺さり、抜いたときに針先に白い粉がついていれば石膏ボードである可能性が高いです。
壁をノックしてみる方法もあります。コンコンと響く音がすれば石膏ボードで裏が空洞になっている状態。ペチペチと詰まった音がする場合はコンクリート壁に直接壁紙が貼られている可能性があります。コンクリート壁の場合、一般的なホッチキスやピンでの固定は不可能で、専用のアンカーが必要になります。
石膏ボードの場合、そのままネジを打ち込んでもすぐに抜けてしまいます。重量物を支えるには、ボードの裏にある下地である間柱を見つけてそこにネジを打つか、後述するホッチキス式の金具を使う必要があります。間柱は通常303mmまたは455mm間隔で配置されているため、下地センサーや針式の下地探しを使って位置を特定できます。
テレビ側の条件(VESA・重量・背面端子の干渉)
壁掛けにはVESA規格という国際標準が存在します。これはテレビ背面のネジ穴の間隔を定めたもので、12インチから24インチ程度の小型モデルでは75×75mmまたは100×100mm、32インチ以上になると200×200mmやそれ以上の規格が採用されています。テレビの説明書やメーカーサイトで対応するVESA規格を確認しておくと、金具選びで失敗しません。
テレビの重量も重要なチェックポイントです。壁掛け金具には耐荷重が設定されており、これを超える重さのテレビを取り付けると落下の危険があります。金具を選ぶときは、テレビの重量に対して余裕のある製品を選ぶと安心です。
見落としがちなのが背面の形状です。スピーカーやチューナー部分が出っ張っているテレビでは、金具との干渉が起こる場合があります。また、背面のHDMI端子やアンテナ端子が金具と干渉すると配線が接続できなくなるため、テレビを購入する前に壁掛け対応かどうかを必ず確認しましょう。各メーカーのサイトや専門店の適合診断サービスを活用すると、購入後の後悔を防げます。
コンセント・アンテナ端子の位置から”配線を隠す距離”を確定
壁掛けにしても配線がだらりと垂れていては台無しです。コンセントとアンテナ端子の位置を確認し、設置予定の場所からの距離を測っておきましょう。距離が近ければ配線の露出を最小限に抑えられますが、遠ければ長いケーブルが必要になり、モールなどで隠す範囲も広がります。
賃貸物件では壁の中に配線を通す壁内配線工事は現実的ではありません。そのため、テレビから床のコンセントまでをモールで覆う方法が基本になります。テレビの真下にコンセントがあれば縦方向に一直線で済みますが、横にずれている場合は縦横の組み合わせが必要になり、見た目の処理が複雑になります。設置場所を決める段階で、既存のコンセント位置を考慮に入れておくことがスッキリした仕上がりへの近道です。
機器の置き場所を先に決める(レコーダー・ゲーム機・ルーター)
壁掛けにするとテレビ台が不要になるイメージがありますが、周辺機器はどこかに置かなければなりません。ブルーレイレコーダー、ゲーム機、Wi-Fiルーター、外付けHDDなど、テレビに接続する機器は意外と多いもの。これらの置き場所を先に決めておかないと、配線の長さや引き回しルートが確定できません。
壁寄せスタンドや棚付きの壁掛け金具を使うと、テレビ下に機器を配置するスペースを確保できます。あるいは既存の収納家具を活用する場合は、そこからテレビまでの距離を測り、必要なケーブル長を把握しておきましょう。機器の配置とケーブルの取り回しを一緒に考えることで、後から配線が足りない、届かないという事態を避けられます。
賃貸でテレビを壁掛けする方法を配線の通し方まで含めて比較する
賃貸物件で壁掛けを実現する方法は複数あります。それぞれにメリットとデメリットがあり、壁の材質や許容できる穴の数、手間と費用のバランスによって最適解が変わってきます。ここでは代表的な4つの方法を比較します。
ホッチキス固定(対応壁・必要工具・取り付けの要点)
石膏ボード壁であれば、ホッチキスの針で金具を固定する方法が注目されています。専用の壁掛け金具が販売されており、一般的なホッチキスを使って設置できるという手軽さが魅力です。
ホッチキスの針は画鋲よりもさらに細いため、外した跡がほとんど目立ちません。原状回復ガイドラインに照らしても、画鋲程度の穴は通常損耗とされるケースが多いことから、賃貸でも安心して使える選択肢といえます。
設置に必要な工具は180度開くタイプのホッチキスとプラスドライバー程度。金具には多数の小さな窓が開いており、そこにホッチキスの針を打ち込んでいきます。製品によっては多数の固定点を使う設計になっており、細い針でも十分な保持力を確保する仕組みです。作業自体は単純で特別な技術は必要ありません。
対応できるのは通常の石膏ボードのみで、タワーマンションなどに使われる硬質石膏ボードやコンクリート壁には針が刺さりません。設置前にピンを刺して壁の材質を確認することが必須です。耐震試験の有無や強度は製品ごとに異なるため、購入前にメーカーの公式情報を確認しておくと安心です。
石膏ピン固定(耐荷重の考え方・必要な道具と手順)
石膏ボードに細いピンを複数本打ち込んで固定するタイプの金具もあります。ホッチキス式とコンセプトは似ていますが、こちらは専用のピンを斜めに差し込むことでより強い保持力を得る仕組み。
耐荷重は製品によって異なりますが、32インチ程度までの小型テレビ向けのものが多いです。大型テレビには向かないため、サイズと重量を事前に確認してから選ぶ必要があります。
必要な道具はピンを押し込むための器具だけで、ほとんどの製品はパッケージに同梱されています。設置場所を決めて水平を取り、説明書に従ってピンを打ち込み、テレビを引っ掛けて固定するという流れ。作業時間は30分から1時間程度で完了することが多いです。
ピンの跡は画鋲より目立ちにくいものの、数が多くなれば気になる人もいるでしょう。補修用のパテを使えば跡をほとんど分からないレベルまで埋められるため、退去時の対策として覚えておくと安心です。
つっぱりポール/2×4で壁に触れず壁掛け風にする(設置条件と注意点)
壁に一切穴を開けたくない場合の選択肢が、ディアウォールやラブリコといったつっぱり式のアイテムを使う方法です。2×4材という規格の木材にこれらの金具を取り付け、床から天井まで突っ張って柱を立てます。その柱に壁掛け金具をネジ止めすれば、壁に穴を開けることなく壁掛け風のスタイルが実現します。
この方法の最大のメリットは、賃貸の原状回復を一切気にしなくていい点です。退去時は柱を外すだけで元通り。壁紙の傷や穴の心配がありません。
ただし、いくつかの条件があります。まず、天井と床が水平で十分な強度を持っていること。柔らかい天井材やクッションフロアの場合、突っ張りがうまく効かない可能性があります。また、柱が前方に倒れるリスクを考慮して、足元に棚などを設けてL字型に固定する工夫が必要になることもあります。
木材の長さは天井高から40mm程度短くカットするのが基本。ホームセンターでカットサービスを利用できることが多いですが、実際に設置してみないと微調整が必要な場合もあります。作業は2人以上で行うと安全で、水準器を使って垂直を確認しながら進めることが失敗を防ぐコツです。
テレビスタンドで壁寄せする(配線を支柱に逃がす設計)
壁掛けに近い見た目を求めつつ、工事も柱立ても避けたい場合に最適なのが壁寄せタイプのテレビスタンドです。床に置くスタンドでありながら壁にぴったり寄せて設置でき、支柱の背面に配線を通す構造になっているため、正面から見たときにケーブルが目立ちません。
工事不要で組み立てるだけなので、設置も撤去も簡単。引っ越しのたびに壁の状態を気にする必要がなく、模様替えで位置を変えることも自由にできます。テレビの高さ調節機能が付いている製品も多く、視聴スタイルに合わせたセッティングが可能です。
デメリットとしては、純粋な壁掛けに比べると奥行きが必要になること。また、スタンドそのものが床面積を使うため、完全にテレビ台を廃止したい人には物足りないかもしれません。それでも、専用の収納棚やゲーム機ホルダーをオプションで追加できる製品も多く、周辺機器の収納も含めてトータルで整理できる点は魅力です。
賃貸で壁掛けしたテレビの配線をスッキリ見せる基本戦略
壁掛けにしてもケーブルが垂れ下がっていたのでは意味がありません。配線をいかに整理するかが、最終的な見た目の満足度を大きく左右します。
配線の本数を増やさない設計(HDMI・電源・LANの整理)
配線を目立たなくする最も効果的な方法は、そもそもケーブルの本数を減らすことです。テレビにつながるケーブルは最低限、電源コードとアンテナ線の2本。これにレコーダーやゲーム機からのHDMIケーブル、有線LANなどが加わるとすぐに5本、6本と増えていきます。
最近のテレビはネット動画サービスに対応しているものが多く、レコーダーがなくても番組視聴が成立するケースも増えてきました。どうしても録画機能が必要な場合は外付けHDDで対応する、ゲーム機はWi-Fi接続に切り替えるなど、有線接続を減らす工夫をするだけで配線はかなりシンプルになります。テレビ周りも「家電を増やさない」発想で整えると、配線も掃除も一気にラクになります。家電を最小限で揃えたい方はミニマリストの洗濯機選びで失敗する前に|3分でわかる判断基準もあわせてどうぞ。
複数の機器を接続する場合も、HDMI切替器を使えば1本のケーブルで済みます。機器を増やすたびにテレビ裏のケーブルが増える状況を避けるために、最初の段階で何をどう接続するかを計画しておくと後が楽です。
余長処理と束ね方(結束・スリーブ・ラベルで迷子防止)
機器によってケーブルの長さはまちまちで、余ったケーブルがぐちゃぐちゃに絡まるのはよくある光景です。これを防ぐには、余長を適切に処理する必要があります。
結束バンドやマジックテープ式のケーブルタイを使って余った部分をまとめる方法が手軽です。スパイラルチューブに複数のケーブルを通せば、見た目も1本のように整えられます。特に壁掛けテレビの場合、テレビ裏のスペースは限られているため、コンパクトにまとめる工夫が必要です。
ケーブルにラベルを付けておくと、後から機器を入れ替えるときに迷いません。電源、アンテナ、HDMI1、HDMI2といった具合に識別できるようにしておくと、メンテナンス時のストレスが減ります。
電源タップの置き場(発熱・ホコリ・タコ足回避)
複数の機器を使う場合、電源タップは必需品です。ただし、設置場所を誤ると発熱やホコリの蓄積による火災リスクが高まります。
電源タップは風通しの良い場所に置くことが基本。密閉された収納の中に詰め込むのは避けるべきです。ケーブルボックスを使う場合も、放熱スリットがあるタイプを選び、タップ周辺に隙間を確保しましょう。
タコ足配線も危険です。テレビ周りは消費電力の大きな機器が集まりやすいため、タップの許容電流を超えないよう注意が必要になります。壁掛けテレビの場合、タップをテレビ裏の壁面にマグネットで固定できる製品を使うと、床から離れた位置に設置でき、掃除もしやすくなります。
賃貸の壁掛けテレビで配線を隠すならモールを使うのが最優先
壁内に配線を通せない賃貸住宅では、配線カバーであるモールが最も現実的な選択肢になります。ホームセンターや100円ショップでも手に入り、自分で取り付けられる手軽さが魅力です。
モールのサイズ選び(本数・太さ・将来追加の余裕)
モールは空洞になったプラスチック製の部材で、中にケーブルを通して壁に固定します。サイズは様々で、細いものは電源コード1本がぎりぎり入る程度、太いものはHDMIケーブルや電源タップのコードまでまとめて収納できます。
選ぶ際のポイントは、今必要な本数よりも少し余裕を持ったサイズにすること。将来的に機器が増えたときにケーブルを追加できる余地を残しておくと、モールを買い直す手間が省けます。
複数のケーブルを1本のモールにまとめると見た目はすっきりしますが、あまり詰め込みすぎるとカバーが浮いてしまうことがあります。ケーブルがスムーズに収まる太さを選びつつ、曲がり部分のパーツも揃えておくと仕上がりがきれいになります。
目立たないルート設計(縦横切替・曲がり・継ぎ目の最小化)
モールを這わせるルートによって目立ち具合は大きく変わります。基本はテレビから真下に向かって床まで一直線。縦方向のモールは横方向よりも目立ちにくい傾向があります。
コンセントがテレビの真下にない場合は、床付近で横方向に曲げる必要が出てきます。このとき、巾木のすぐ上に沿わせると壁面の中央を横切るよりも違和感が少なくなります。角を曲げる部分には専用のコーナーパーツを使うと、見た目がきれいに仕上がります。
モールの継ぎ目が多いと目につきやすいため、なるべく1本で通せる長さの製品を選ぶこと。ホームセンターでは1mや2mのものが売られていますが、長さが足りない場合は継ぎ手パーツで接続します。継ぎ目の位置は目線より低い場所に来るよう調整すると、視界に入りにくくなります。
色合わせの基本(壁より”巾木”に寄せる/縦はクロス付きも検討)
モールの色選びは見た目の完成度を左右する重要なポイントです。白い壁に白いモールを合わせるのが基本ですが、完全に同じ白ではないことが多く、微妙に浮いて見える場合もあります。
壁の色よりも、床と壁の境目にある巾木の色に合わせる方法が実は効果的。特に床付近を横に走る部分は巾木の色に揃えることで、まるで最初からそこにあったかのように溶け込みます。
縦方向のモールには壁紙調のシートが貼られた製品もあり、壁の柄に近いものを選べばかなり目立ちにくくなります。モールに壁紙を貼るDIY方法もあり、こだわる人はリメイクシートを活用しています。
壁紙を傷めない固定(マスキングテープ養生など撤去まで逆算)
モールの固定には両面テープを使うのが一般的ですが、賃貸住宅では撤去時の壁紙の状態が気になるところ。粘着力の強いテープをそのまま貼ると、剥がすときに壁紙が一緒に剥がれてしまうリスクがあります。
これを防ぐ方法として、まず壁にマスキングテープを貼り、その上にモールの両面テープを重ねて貼るやり方があります。撤去時はマスキングテープごと剥がせば、壁紙へのダメージを最小限に抑えられます。
モール全体を両面テープでべったり貼り付けるのではなく、両端と中間の数箇所だけを固定するのも有効な方法。固定点を減らすことで、撤去時の負担が軽くなります。
モールが必要になるケース(壁内の横引きが難しい/端子位置が遠い)
石膏ボードの壁であっても、内部には間柱が通っているため、横方向に配線を隠蔽するのは難しいです。壁の中をケーブルが通せるのは基本的に縦方向のみで、しかもその工事には専門的な知識と技術が必要になります。
賃貸物件でコンセントの増設工事を行うことは現実的ではないため、テレビの設置位置から既存のコンセントまでの配線はモールで隠すのが基本方針になります。コンセントがテレビから離れている場合は、それだけモールの距離が長くなりますが、ルートを工夫すれば見た目の違和感を抑えることは十分に可能です。
賃貸で壁掛けしたテレビと配線を原状回復まで含めて考える撤去と補修
どんな方法で設置しても、退去時には元の状態に戻す必要があります。取り付けだけでなく、撤去のしやすさまで考えておくことが賃貸での壁掛けを成功させる鍵です。
撤去しやすい工法・固定材の選び方(後で剥がせる前提)
ホッチキス式の金具は、通常のホッチキス針を抜くように外せるため撤去が簡単です。特殊な工具は不要で、端から順番に針を抜いていけば作業は完了します。抜いた跡は非常に小さく、クロスの柄によっては目を凝らしても見えないレベルです。
ディアウォールなどのつっぱり式は、柱を外すだけで完全に元通りになります。天井や床に傷がつくこともほとんどなく、原状回復の心配がないという点では最も安心感のある方法といえます。
モールを剥がす際は、ゆっくりと端から剥がしていくことが大切。一気に引っ張ると壁紙を傷める原因になります。ドライヤーで温めながら剥がすとテープの粘着が弱まり、きれいに外せることがあります。
小穴・粘着跡が残ったときの最小補修(範囲を広げない)
ホッチキスやピンの跡は、壁紙用の補修パテで埋められます。白い壁紙であれば白いパテを使い、乾いたら指で軽くならすだけで跡はほぼ分からなくなります。
両面テープの粘着跡が残った場合は、消しゴムでこすると取れることがあります。それでも取れない場合はシール剥がしスプレーを使いますが、壁紙を傷めないよう目立たない場所でテストしてから使用しましょう。
補修の範囲を必要以上に広げないことがポイントです。小さな穴を隠そうとして周囲の壁紙まで傷つけてしまうと、かえって修繕費用が増える可能性があります。
退去時に説明できる状態の作り方(施工前後の記録・写真)
トラブルを防ぐには、設置前の壁の状態を写真で記録しておくことが有効です。日付入りの写真を撮っておけば、元からあった傷や汚れと、入居後に生じた損傷を区別できます。
設置中の工程や使用した金具の種類も記録しておくと、退去時の説明がスムーズです。ホッチキス式の金具を使ったのであれば、画鋲程度の穴しか開いていないことを示す証拠になります。
管理会社との退去立ち会いの際に、どのような方法で設置していたかを説明できる状態にしておくと、余計な請求を避けられる可能性が高まります。
賃貸で壁掛けテレビと配線に関して起きやすい失敗と対処法
計画通りに進まないことは珍しくありません。よくある失敗パターンとその対処法を知っておくと、いざというときに慌てずに済みます。
壁材が想定と違った(刺さらない/固定できない)ときの切り替え
いざ取り付けようとしたらホッチキスの針が刺さらない。そんな場面に遭遇したら、壁が硬質石膏ボードやコンクリートである可能性があります。無理に針を押し込もうとしても固定できず、金具が脱落する原因になります。
このような場合は、つっぱりポール方式やテレビスタンドへの切り替えを検討しましょう。壁に一切触れない方法であれば、壁材の種類に関係なく設置できます。せっかく買った金具が無駄になるのは残念ですが、テレビの落下リスクを冒すよりは賢明な判断です。
購入前にピンを刺して壁の材質を確認することで、こうした事態は防げます。面倒でも、この確認作業は必ず行うべき工程です。
モールが浮く・剥がれるときの原因(下地・温湿度・固定点)
両面テープで固定したモールが時間とともに浮いてくることがあります。原因として多いのは、壁紙の表面がザラザラしていてテープの密着が弱いケース。凹凸のある壁紙には、通常の両面テープよりも厚みのある強力タイプを使うと改善することがあります。
温度や湿度の変化もテープの粘着力に影響します。夏場に貼ったモールが冬になると縮んで隙間ができることも。固定点を増やすか、ピンやホッチキスを併用して補強すると安定します。
壁面の汚れや油分もテープが剥がれる原因になります。貼る前に壁を軽く拭いて清潔な状態にしておくと密着度が上がります。
配線が入りきらないときの打ち手(号数不足/分岐/ルート再設計)
モールを買ったものの、ケーブルが全部入りきらないという事態は意外とよくあります。特にHDMIケーブルのプラグ部分は太さがあり、細いモールでは通らないことも。
対処法としては、より太いモールに買い替えるか、2本のモールを並行して走らせる方法があります。見た目を重視するなら、ケーブルの本数自体を減らす方向で見直すのも一案です。
ルートの再設計も検討してみてください。最短距離にこだわらず、家具の裏を通す、巾木の影に隠すなど、目につきにくい経路を選ぶことで、太いモールでも違和感なく設置できる場合があります。
賃貸でテレビを壁掛けし配線まで行う際に自分でやるか判断する基準
ここまで読んで、自分でできそうだと感じた方もいれば、やはり不安だという方もいるでしょう。無理をして事故やトラブルを招くよりも、専門業者に任せた方がいい場面があることも事実です。
重量・壁材不明・下地なし・電気工事が絡むケースは無理しない
大型テレビの重量を一人で支えながら金具に固定するのは危険が伴います。55インチ以上になると20kgを超えるモデルもあり、作業中に落下させれば怪我をする恐れがあります。必ず2人以上で作業するか、自信がなければ業者への依頼を検討しましょう。
壁の材質が判断できない場合も要注意です。石膏ボードだと思って針を刺したらまったく入らなかった、という状況では適切な設置方法を選べません。下地の位置が分からず、どこにネジを打てばいいか判断できない場合も同様です。
コンセントの増設や移設、壁内への隠蔽配線が必要な場合は、基本的に電気工事士の資格を持つ業者に依頼する必要があります。資格不要となる軽微な工事の範囲は限定的であり、素人が電気配線をいじると漏電や火災の原因になりかねません。
依頼時に確認するポイント(工法・補修範囲・保証・安全想定)
業者に依頼する場合は、どのような工法で設置するのかを事前に確認しましょう。壁に大きな穴を開けるのか、モール処理で済むのかによって、退去時の原状回復への影響が変わってきます。賃貸物件であることを伝え、できるだけ壁へのダメージが少ない方法を提案してもらうことが重要です。
万が一テレビが落下した場合の保証があるかどうかも確認しておきたいポイント。施工後のアフターサービスや、工事中に壁を傷つけた場合の補修範囲についても事前に明確にしておくと安心です。
工事の見積もりは複数の業者から取り、内容を比較することをおすすめします。費用だけでなく、施工実績や口コミ評価なども参考にして、信頼できる業者を選ぶことが満足のいく仕上がりにつながります。
